Sunday, July 25, 2010

敦煌和"文革”

前回につづき、「文革」をめぐる記憶の物語について。萧默《一叶一菩提:我在敦煌十五年》(新星出版社,2010年)という本が注目されているようです。

この本を紹介しているのは、左岸会館サイトの李公明《个人“文革史”的普遍性》。政治の中心から遠く離れた僻遠の地、敦煌での学術調査に明け暮れた著者の毎日は、文革の十年間をどのように過ごしたのか、それは、まさに、政治の中心ではなかったがゆえに、逆にこの時代のより普遍的なすがたを映し出しており、それは「傷痕文学」とも異なる、と作者と評者は述べます。
記憶はどのように継承されていくことが可能なのか、どのように歴史を表象すべきなのか、という問いかけ自体は、いま耳を傾けるべき声がすぐそこにたくさんひそんでいることを思い出させてくれるものではないでしょうか。

かつても紹介しましたが、左岸会館は、社会派の文芸サイトです。「社会派」という修飾語はわたしが勝手につけたものですが、中国の文壇は今なおリアリズム文学が一定の訴求力を持っているようなので、ほぼ同義反復になっているかもしれません。マスメディア系のサイトにあらわれてくるものとは異なった中国のいまを知るにはなかなかおすすめです。

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