Saturday, March 6, 2010

哈耶克思想的中国流播史

孙国东《哈氏思想的中国流播史》(『中華読書報』2009年12月9日)はハイエクの思想が中国語のコンテクストに紹介され伝播していった歴史を簡潔に整理してあって便利な記事です。その梗概を以下にまとめておきます。
1 1949年より前の中国周徳偉(1902-1986、湖南大学経済系)がLSEでハイエクに師事、1937年からは『中国之路』を創刊して、その思想を広く紹介する。蒋碩傑(1918-1993、中国人初のノーベル経済学賞候補者、北京大学から台湾中華経済研究院)は1937年から1945年にハイエクのもとで博士課程を学ぶ。
2 1949年以降の台湾殷海光が周徳偉の提案により、1953年に『隷従への路』を訳出、『自由中国』誌上で連載。1960年代以降、『自由秩序原理』(オリジナルタイトル不明)、『法と立法と自由』などが翻訳出版。林毓生が「中国伝統の創造的転化」論を提出。
3 中国大陸における「三段論」的展開:1946年、潘光旦が『自由之路』の中で『隷従への道』に言及(前奏)。(1)1950年代から1970年代(内部読解の段階)、滕維藻(1917-2008)が『価格と生産』(1958年、《物价与生产》,上海人民出版社)、『隷従への道』(1962年、《通往奴役之路》,商务印书馆)を「内部読物」として翻訳出版。(2)1980年代から1990年代初期(部分的評価の段階)、賈湛らの翻訳により、『個人主義と経済秩序』(1989年、北京経済学院出版社)が出版。(3)1990年代中期から現在まで(体系的紹介と研究の段階)、代表的研究者は、鄧正来(1956~、復旦大学社会科学高等研究院院長)。その訳書は『自由秩序原理』(三聯書店、1997年)、『法と立法と自由』(大百科出版社、2000年)、『個人主義と経済秩序』(三聯書店、2004年)など。その他の代表的な研究者として、高全喜張曙光秋風汪丁丁徐友漁秦暉張維迎など。

ハイエク研究の方向性は以下の三つ:(1)知識社会学的な研究。鄧正来を中心とする。(2)リベラリズム思想の基本理論として読解。秋風を中心とする。(3)政治哲学研究。

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