Wednesday, November 24, 2010

“国学热”的源头

『読書』2010年第11期に掲載されている雷颐《启蒙与儒学:从维新到五四》の記すところによれば、1990年代に始まるとされる「国学ブーム」は、ポスト1989年のイデオロギー構築にもシンクロしていたようです。
それによると、1989年後まもないころに、“民族文化与社会主义现代化建设”というテーマでかなりオフィシャルな学術座談会が開催され、その中では1980年代の新啓蒙運動に見られた「反伝統」思想の「虚無主義」的傾向を指摘する議論があがり、それは「伝統、社会主義、党による指導を捨てて、西洋化と資本主義を求める」ものであるから、「伝統否定の危険性はますます深刻となり、その深刻さは、十分注意するに値するものだ」と結論されたのだそうです。
その後、1993年には8月16日と18日の『人民日報』に《国学,在燕园又悄然兴起》という長編記事、《久违了,“国学”!》と題する評論が相次いで掲載されると共に、同年11月には、CCTVテレビの名物番組“东方时空”で“国学热的启示”というテーマの特集が組まれ、さらに12月には、再び『人民日報』が北京大学の季羨林氏が東洋文化と国学について行った講演に関する報道を掲載したのだそうです。
もちろん、梁漱溟を精神的支柱としつつ、伝統文化による民間啓蒙を実践する「中国文化書院」のような活動が1980年代からすでにグラスルーツ的に進められており、1990年代初めのこうした動きは、それを意識しつつ展開されたものだと思われます。12月3日に駒場でご講演いただく王守常氏は、その「中国文化書院」を設立当初からリードしてきた中心人物です。全国の有力大学が次々と「国学」を標榜する学科やプログラムを立ち上げる今日的状況が、いったいどのような歴史的背景のもとで形成されてきたのか、またそれは、改革開放後の中国の社会経済発展とどのように関連しているのか、興味のある方はぜひ聞きに来てください。

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