Wednesday, October 20, 2010

河内(日文版)

出張のため、初めてベトナムに行ってきました。
折しもハノイ建都千周年ということで、街全体がにぎわっていました。同じく東アジア漢字圏に属するもう一つの社会主義国家を見て、考えさせるものも多くありました。
タンロン城の端門を望む


千年前の西暦1010年、当時の李朝が今日のハノイに初めて首都タンロンを築きました。その後、陳、黎、莫といった歴代王朝がこの地を国都としています。




近代になると、フランスの植民統治下で、タンロン城址は、フランス植民政府の管理下に入ります。ベトナム戦争当時には、ベトナム共産党の司令部がこの遺跡に設けられていました。




左の写真は、タンロン城敬天殿うらの旧地下司令部です。机には、ヘルメットや飯盒、懐中電灯が置かれています。ずいぶん簡単な装備です。






今日のハノイでは、経済の急速発展を受けて、文化の復古現象が見られます。街中に建て直された土地廟には決まって漢字が書かれていますし、市街地の中心に位置する文廟は、ハノイを代表する観光スポットとして、多くの旅行者を引きつけ、また、世俗的な信仰の対象にもなっています。


ハノイ文廟。千年祭に併せた休日で全国からの観光客がいっぱい。



旧司令部では、頭にヘルメットをかぶったお年寄りを見かけました。ひょっとして当時のゲリラ活動に参加していたとか?今日のハノイの繁栄ぶりは、この人にはどう映じているのでしょうか。学会の場でも、千年を祝う政府サイドによる宣伝でも、平和の大切さが強調され、ハノイを21世紀の平和の首都にしようと叫ばれていました。通りすがりの外人旅行客であるわたしには、ベトナムの社会や歴史の深奥に触れることはできませんでした。この近隣国家について、これまでの無知を痛感、ましてや人々の苦しみやたたかいについてはなおさらというものでしょう。

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