Thursday, January 21, 2010

帝国的话语政治

コロンビア大学のLydia Liu(刘禾)の著書、The Clash of Empires: The Invention of China in Modern World Making が中国語に翻訳されたようです。『読書』2010年第1期はその書評会での評論を掲載しています。中国語版の題名は著者自身がつけたもので、《帝国的话语政治》(三联书店、2009年)。本人の解説によると、言語の記号的作用が生産されていく政治性そのものにおいて、清朝中国から近代中国へという文明転換のプロセスを省察しようとした本書の意味が、「帝国の衝突」というオリジナルタイトルよりももっと明確に表現されているからとのこと。
彼女の一貫したモチーフとなっているのは、言うまでもなく、エドワード・サイードから来ている言語の「旅行」と、近代中国における翻訳の政治学の問題でしたが、この新著ではより全面的にそれが展開されているのかという印象です。ヨーロッパ起源の、例えば、「権利=right」のような概念が「権」という漢字によって翻訳されることになった結果、新たな「権」がまた近代的言説の中で、rightとは異なった内包と外延を賦与されて、中国語言説とそこから構想されてくる体制そのものを規定していく。作者はこれをsuper-sign(中国語では「衍指符号」)と呼びます。作者にとっての問題は、このような過程の中で、中国の自己表象がどのように形成されていったのかということになりそうです。

No comments: