Wednesday, February 6, 2008

过年

明日は旧正月、すなわち「春節」にあたります。中国では今日でも正月といえば旧正月で、全国各地に散らばった家族親戚が皆故郷に集まってにぎやかな年越しを楽しみます。ところが今年の正月は、歴史的にもまれとすらいわれる大雪が中国南部を中心に深刻かつ甚大な被害をもたらし、年に一度のこの心温まる団らんがかき乱される事態に陥っています。最初のころは鉄道や道路網が降雪によって麻痺し、故郷へ帰る人々の足が断たれ、流通に障害が生じるという問題が主だったようです。広州や北京のような農民工を多数抱える大都市のターミナル駅は、帰省の列車を待つ乗客であふれかえり(それは数十万人という想像を絶する数です)、各地の幹線道路で帰省者を乗せたバスや流通関連車輌が立ち往生しているというニュースが連日メディアを通じて広く伝えられました。身を粉にして働いて得た給料を年に一度の団らんに合わせて故郷に持って帰る多数の人々の喜びの大きさと、それがかなわなくなった場合の落胆の深さはいかほどのものなのでしょうか。駅周辺では病人も相次いでいると伝えられます。寒風と人いきれの中で押し合いながら数時間、いや時によっては何日も切符や列車を待つということがどれだけ苦しいことか、中国で留学中に体験したことがある人も少なくないでしょう。
しかし、事態はこれだけにとどまりませんでした。相次ぐ降雪は次第に被害を深刻化させ、ついには南方各省で電力供給網が破壊されるという最悪の事態を迎えます。ここ数日来、温家宝総理は広州駅などの旅客ターミナルを慰問するだけでなく、電力供給の確保のための復旧作業を陣頭指揮するべく被災地を飛び回っているようです。
温家宝総理といえば、1997年の大水害の時にも政府を代表して災害対策にあたり、連日洪水の最前線で指揮していた印象が強烈ですが、国土面積が大きく、複雑な地理を有し、厖大な人口を抱える中国では、自然災害の発生は単なる社会問題ではなく、重大な政治的課題にならざるを得ません。特に、今回は春節直前の超大規模災害ということで、国民全体の心理に及ぼす影響はかなり大きいのではないかと思われます。
内モンゴルの砂漠地帯に行くと、地平線まで続く荒漠地帯を貫くように一本の電線が延々とはるか彼方の村落まで続いているのを見ることができます。あれだけ幅員が大きく、地理的環境が複雑多様な国土で、末端まで電力が整備されているということ自体が並大抵のことではないのだと気づかされるには、それは極めて十分な光景でした。今回、電力供給で最も深刻な事態が生じている貴州省は、山がちの地方で、もともとインフラの整備が困難なところだと聞いています。そういうところでいったん送電線に問題が生じれば復旧に相当の困難が伴うであろうことは想像に難くありません。しかも、電力供給網はあちこちの省で破壊されているのです。
幸い立春を過ぎて、状況は緩和しているというニュースも聞かれます。季節的にはもうそろそろ出口が見えてきてもいい時期に入ってきてはいるのでしょう。しかし、混乱はまだまだ続くものと思われます。

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