Saturday, February 28, 2015

2015年度後期課程シラバス【夏学期】

2015年度Sセメスター「現代思想特殊演習/特殊演習研究[アジア・日本研究コース]」のシラバスです。


講義題目    東アジア現代思想基本文献講読
授業の目標・概要  日本、中国、韓国(朝鮮)がそれぞれの文脈で経験してきたモダニティを、「東アジア」という共通のパースペクティヴのもとで批判的に問いなおす。
授業計画  以下のテーマに関わるテクストをテーマごとに2篇ずつ選定して講読する。
1 美とネイション:高山樗牛やアジア主義の言説をとりあげ、近代的アイデンティティの形成における美学的契機のもつ政治性を考える。
2 断絶と連続:東アジアにおける近代化は伝統に対する創出・否定・継承などの反応を伴う。丸山眞男や魯迅の思想を通じてこの問題を考える。
3 国家と学術:伝統的国家体制から近代国家への転換において、国家はどのように構想されるか。梁啓超と章炳麟の場合を例に取りながら、近代国家構想とそれに対する批判の思想を理解する。
4 記憶と「文」:記憶することと「書く」ことは、東アジア的近代がさまざまな場所で経験してきた傷(トラウマ)の克服に関わり、またそれは国家中心のナショナル・ナラティヴとは異なる別のコミュニティの想像につながる。在日朝鮮人の日本語による文学に触れながら「文」の可能性を考える。
授業の方法  ひとつのテーマをは2回から3回の授業で完了する。テーマごとに指定されたテクストは、複数の担当者が毎回、批評的に報告する。参加者はそれにもとづいてディスカッションを行う。
教科書  暫定的に以下のテクストを指定する。
高山樗牛「美的生活を論ず」
竹内好「日本のアジア主義」
丸山眞男「歴史意識の古層」
魯迅「破悪声論」
章炳麟「国家論」
梁啓超「中国史叙論」
金石範、金時鐘『なぜ書きつづけてきたかなぜ沈黙しつづけてきたか』
李静和『つぶやきの政治思想』
履修上の注意  使用テクストはすべて日本語で書かれたものなので、外国語のスキルは要求されないが、研究資料の調査にあたって、中国語や韓国語が便利な場合が若干ある。

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